ミサ中に歌う聖歌を選ぶ基準のようなものがあるのでしょうか?

何のためにそこで歌われるのかを考慮し、目的にかなった内容と曲調、歌い方ができることが基準となります。

感謝の祭儀で歌われる聖歌は、
  1.神のことばを味わうためのもの、
  2.行動的な参加を促すためのもの、
  3.司祭と会衆の応答のためのもの、
  4.会衆による賛歌、
の四つに分類することができます。
何のためにそこで歌われるのかを考慮し、目的にかなった内容と曲調、歌い方ができることが基準となります。

典礼は神への賛美ですから、感謝の祭儀(ミサ)で歌うのは単なる飾りではありません。
典礼で使う歌を聖歌と呼びます。聖歌は賛美の本質に基づいたものですが、典礼のそれぞれの部分によって聖歌の機能は異なっています。
感謝の祭儀で使用される聖歌の機能は、大きく四つに分類できます。

第一の種類の聖歌は、聖書朗読のあとで神のことばを味わうためのものです。
その日の聖書の朗読箇所と最も深い関係にある答唱詩編がこれにあたります。
朗読された神のことばを詩編のことばで味わい、答唱句で応答します。
ですから詩編の本文は先唱者が歌って奉仕し、一同はこれを聞いてゆっくりと味わうようにするのが最もふさわしいでしょう。
会衆は、先唱者の歌う詩編の出来事を黙想し、段落ごとに答唱句を繰り返し歌うことで、第一朗読で読まれた救いのわざに応答していきます。

第二の種類は、行動的な参加を促すためのものです。
入祭の歌、奉納の歌、拝領の歌がこれにあたります。
会衆の行動的参加を表現するものですから、可能な限り全員で歌うようにします。
入祭の歌は、集まった会衆が、司式者や奉仕者を迎え、感謝と賛美をささげるために心を一つにするために歌います。
奉納の歌は、神からいただいた恵みを日々の生活によってお返しする決意を新たにしつつ、パンとぶどう酒を奉納しながら歌います。
拝領の歌は、主の食卓に招かれた喜びをかみしめながら行列するための歌です。

第三の種類は、「司祭または奉仕者が歌うべきもので、会衆の応答がこれに伴うもの、もしくは司祭と会衆が同時に歌うべきもの」(「ローマ・ミサ典礼書の総則」19)です。
具体的には、司祭と会衆との間で交わされる対話句、司祭による入祭祈願・奉納祈願・拝領祈願と会衆による「アーメン」の応唱、福音に対する応唱、叙唱とその対話句および感謝の賛歌、奉献文の結びの栄唱、主の祈りおよびその前文と後文、閉祭の辞を指します。

第四の種類は、伝統的に会衆の歌と言われる、あわれみの賛歌、栄光の賛歌、信仰宣言、共同祈願、平和の賛歌です。

ミサにおける聖歌の選曲で最も重要なのは、その日の聖書朗読と密接に結ばれた「答唱詩編」と「アレルヤ唱」です。
『教会暦と聖書朗読』に基づいて、『聖書と典礼』にはその日の朗読箇所に適した答唱詩編が掲載されています。
特別な理由がない限り、これに従ってください。答唱詩編は、神のことばを味わい黙想するためのものですから、『聖書と典礼』に掲載されている典礼聖歌と同じ詩編を使っているからといって、行動的参加を促すための曲はふさわしくありません(例えば典礼聖歌75は答唱詩編用、76は行動的参加のための曲だと言えます)。

「入祭の歌」の目的は会衆が心を合わせてミサを始めることを意識することにあり、「奉納の歌」「拝領の歌」も会衆の行動的参加を表すものですから、それぞれの場面にふさわしく、皆が声を合わせて元気よく歌えるなら、詩編でも賛歌でもいいでしょう。
派遣の祝福の後は歌わないで解散することもできますので、「閉祭の歌」は自由に選ぶことができます。
いただいた恵みを感謝したり派遣された喜びや新たな決意を表明したりする内容なら、聖歌以外の歌を使用する可能性もあります。