2014年11月1日よりミサの奉献文に聖ヨセフの名前が入りましたが、なぜそう決められたのですか?

今使われているミサの第1奉献文には、もともと聖ヨセフの名が入っていました。
しかし、第2バチカン公会議後、新たにミサ典礼書に加えられた第2、第3、第4奉献文にはありませんでした。
こちらにもぜひ入れてほしいという多くの声に応え、教皇フランシスコが挿入を宣言されたというわけです。


1870年、教皇ピオ9世は聖ヨセフを教会全体の保護者と定めました。
その後、教皇聖ヨハネ23世は、トリエント公会議以来少しずつ改訂されてきていた「ローマ・ミサ典礼書」(最終版)を1962年に公布する際、その中に聖ヨセフの名前を明記しました。

第2バチカン公会議後、教皇福者パウロ6世が1969年に認可した「ミサの新しい式次第」には、「ローマ・ミサ典礼書」(最終版)に記載されていたローマ・カノンを第1奉献文とし、トリエント公会議以前に使用されていた奉献文も第2~第4奉献文として新たに取り入れました。
しかしその第2~第4奉献文には聖ヨセフの名前は入っていませんでした。

それで、「なぜ第1奉献文には聖ヨセフが明記されているのに、第2~第4奉献文にはないのか」という問い合わせや、ぜひ入れてほしいという声が世界各地からバチカンに寄せられたそうです。

教皇聖ヨハネ・パウロ2世は、1989年に、使徒的勧告『救い主の守護者 聖ヨセフ』を発表し、聖ヨセフが教会の保護者だけではなく救い主の守護者でもあることを再確認されました。
その後、教皇ベネディクト16世は第2~第4奉献文にも聖ヨセフの名を加えることを承認し、教皇フランシスコも、第2バチカン公会議50周年を記念にあたり、改めて教皇聖ヨハネ23世の取り組みを重く受け止め、また教皇聖ヨハネ・パウロ2世の再確認をベースに、教会の保護者であり救い主の守護者である聖ヨセフの名前を第2~第4奉献文の中に入れることを承認され、宣言されたという流れのようです。
ミサにおいてその名を耳にすることになったのを機に、聖ヨセフへの信心と崇敬がこれまで以上に高まればと願っています。

(資料)

庁典礼秘跡省教令(2013年)
ローマミサ典礼書の第2,3,4奉献文に聖ヨセフの名を挿入すること


聖家族の家長とされたナザレの聖ヨセフは、神の恵みに寛大に応え、父としてイエスを育むことを通して、救いの計画におけるその務めを果たした。
このように、人類の救いの神秘の始まりに十全に一致することによって、キリスト教的生活を完全に生きるために欠かせない謙遜な献身の模範となり、人が真に誠実にキリストに従う者となるために必要な、目立たず簡素な人間徳を証しする者となったのである。
神の母を愛深く守り、喜びのうちにイエス・キリストを教え育くんだこの義人は、父なる神のもっとも大切な宝の守り手となり、何世紀にも渡って、神秘体である教会の保護者として、神の民から常に崇敬されてきた。

カトリック教会において、信者たちは絶え間ない聖ヨセフへの信心を常に表してきたのであり、継続的かつ盛大に、神の母の清き配偶者として尊敬してきた。
それ故、福者(※当時。現在は聖人)ヨハネ23世は、第2バチカン公会議中、古くからのローマ奉献文にその名を挿入することを決定された。
教皇ベネディクト16世は、多くの所から届いた信心深い望みを受け止め、認め、この度、教皇フランシスコは、私たちと同じ時代に生きながら、私たちをキリストに導き、キリストに一致させた聖人たちとの交わりの完全さを考慮し、これを承認された。( 後略 )

2013年5月1日、労働者聖ヨセフの日に典礼秘跡省にて

長官 アントニオ・カニザレス・ジョベラ枢機卿
次官 アーサー・ローチ大司教