今使われているミサの第1奉献文には、もともと聖ヨセフの名が入っていました。
しかし、第2バチカン公会議後、新たにミサ典礼書に加えられた第2、第3、第4奉献文にはありませんでした。
こちらにもぜひ入れてほしいという多くの声に応え、教皇フランシスコが挿入を宣言されたというわけです。
1870年、教皇ピオ9世は聖ヨセフを教会全体の保護者と定めました。
その後、教皇聖ヨハネ23世は、トリエント公会議以来少しずつ改訂されてきていた「ローマ・ミサ典礼書」(最終版)を1962年に公布する際、その中に聖ヨセフの名前を明記しました。
第2バチカン公会議後、教皇福者パウロ6世が1969年に認可した「ミサの新しい式次第」には、「ローマ・ミサ典礼書」(最終版)に記載されていたローマ・カノンを第1奉献文とし、トリエント公会議以前に使用されていた奉献文も第2~第4奉献文として新たに取り入れました。
しかしその第2~第4奉献文には聖ヨセフの名前は入っていませんでした。
それで、「なぜ第1奉献文には聖ヨセフが明記されているのに、第2~第4奉献文にはないのか」という問い合わせや、ぜひ入れてほしいという声が世界各地からバチカンに寄せられたそうです。
教皇聖ヨハネ・パウロ2世は、1989年に、使徒的勧告『救い主の守護者 聖ヨセフ』を発表し、聖ヨセフが教会の保護者だけではなく救い主の守護者でもあることを再確認されました。
その後、教皇ベネディクト16世は第2~第4奉献文にも聖ヨセフの名を加えることを承認し、教皇フランシスコも、第2バチカン公会議50周年を記念にあたり、改めて教皇聖ヨハネ23世の取り組みを重く受け止め、また教皇聖ヨハネ・パウロ2世の再確認をベースに、教会の保護者であり救い主の守護者である聖ヨセフの名前を第2~第4奉献文の中に入れることを承認され、宣言されたという流れのようです。
ミサにおいてその名を耳にすることになったのを機に、聖ヨセフへの信心と崇敬がこれまで以上に高まればと願っています。