ローソクの灯は私たちの喜びのしるしだからです。
ミサだけでなく、さまざまな典礼においてローソクを灯すように定められています。
ミサが、キリストの最後の晩餐を再現する、主の食卓のかたどりとしての側面を持つことはよく知られています。
祭壇には必ずテーブルクロスがかけられ、そしてローソクが置かれる。
食卓としてはごく自然なことですので、特に子供たちに説明するときによく言われます。
ただ、これではミサ以外の典礼の場合を説明しにくくなります。
ミサ典礼書の総則によれば、ローソク台は「すべての典礼行為の際に必要であ」り、それは「崇敬と祝いの喜びを表すため」であると説明されています。
また、ローソクは必ずしも祭壇上になければいけないとは限りません。
祭壇近くのローソク台であっても構わないし、和室の場合などは床の間や違い棚に置くことも許されています。
ただし祭壇からあまり遠くならない程度で。要は、今から祭壇を中心として行われる典礼に対して、私たちが特別な思いを込めて注目し、喜びを共にする、そのしるしとして輝く灯火を置くという事だと思います。
なお、歴史的事実として祭壇にローソクが置かれるようになったのは、十二世紀ごろの中世ヨーロッパにおいてのことであり、ラテン語を解しない一般信徒に対して、ミサの内容をなんとか理解させようとさまざまな工夫を凝らしたその一環だったということです。